2016年2月28日日曜日

第二回日本画画材研究会 テーマ「朱」

広義には、水銀朱・鉛丹・弁柄・丹土を含む赤色顔料を朱と呼んでいたようですが今回の画材研では天然辰砂と人工的に合成された銀朱に関する考察を試みました。




実験方法  使用絵具(現在の赤口本朱・川嶋浩先生の赤口本朱・現在の黄口本朱・西山英雄先生の黄口本朱・現在の天然辰砂)れぞれを洋膠一種・旧三千本膠・牛皮古膠無類の三種で溶き麻紙及び手板に彩色し溶き具合や黄目の量、粘度や伸びなどの塗り心地・作業性を記録する。


結果  赤口でも黄口でも現在のものよりも昔のものの方が圧倒的に発色がよく、黄目も少ない。
一つの理由としては、製造工程での洗いの不足と原料の質に問題があると考えられる。天然辰砂に関しては意外に黄目が出た。
膠での違いは、ゲル化温度が洋膠一種で21°、三千本で18°、無類が16°で伸びと塗り易さ(伸び)については無類が最も良かった、一種は塗ると同時に粘り著しく塗りにくかった。


結論 ― 人工朱は、赤口・黄口とも昔のものが黄目が少なく発色が良い。朱を溶く場合、やや油脂分を多く含む良質の膠でやや濃いめに溶くのがベストである。

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